2020/7/17私の咲き方…美咲
お泊まり開けの朝、私は一人で街を歩いていた
綺麗な朝日が新しいマンション群の間から見える、その中の自然豊かに整備された公園のベンチに座った
「当分女風いけないや…」
飛鳥にたくさんお金を使ってしまった、今の私には貯金もない
「どうしてこうなった」
様々な物を犠牲にし、快楽を求めた。その結果お金も結婚のチャンスも失った。
来月で私は29歳
風が短くなった私の髪を揺らす
来週から、異動か…
都心のオフィスビルから郊外の住宅街の中にある事務所へ異動することが決まっていた。
一応出世だし、近くなるけど…せっかく良い場所だったのに、好きな人も好きな職場もなくなる、淋しい…異動したら稼ぎはよくなるけどね。
その瞬間、強い風が吹いてベンチに置いてあるカバンの横の飛鳥からもらった紙袋が倒れた。
「お菓子、何くれたのかな」
倒れた紙袋が気になって私は中を見ることにした。すると包装された箱の横に、緑色の大きな封筒が入っていた
「ん?」
封筒を開けると色紙と一枚 の便せんが入っていた
二つに折られた便せんを開く
美咲さんへ
今まで指名してくれてありがとう、最初のメッセージで知り合いなんじゃないかって本気で驚いたよ。そこからいろいろなことがあったね。
辛い思いもさせてごめんなさい。
最後に一言だけ言うね
「いい人見つけろよ」
約束してください、何年かかってもいいです。
美咲さんの今後の人生が幸多かれと祈っています
飛鳥
P.S. 色紙は早めの誕生日プレゼントです
一緒に入っていた色紙を封筒から取り出した
するとそこには
ウエディングドレスを着た私と男性が描かれていた
うれしさで思わず笑ってしまうが視界はにじむ。
そういえば以前
「飛鳥君にもっと絵描いてほしいな」
「うーん、そのうちね」
「かわいいのがいい」
「はいはい、王子様つきのお姫様にしてあげるよ」
そんな話をしたことがあった、男性の顔が描いてないのはおそらくその見つけるであろういい人なのであろう…
ふと、色紙の裏を見ると文字が書いてあった
せっかくだからEカップくらいにしようと思ったんだけど、嘘はつきたくないから花で隠したよ。
「最後まで、貧乳いじりは欠かさないんだね…」
そしてその下には、彼のサインが入っていた…
色紙を封筒に再度しまい、紙袋に封筒をしまったところでスマートフォンの通知音がした
飛鳥の在籍店からのメッセージである
【本日もご利用ありがとうございました、来週新人が入るんですがモニターやっていただけますか?】
すぐに返信をした
【やります、よろしくお願いいたします。】
どこからともなく桜の花びらが舞ってきてスマートフォンの画面に落ちた
「飛鳥君に…出会えてよかった…」