写メ日記
ホラー映画大好き!地神ハクです!
小学2年生の頃です。校門を出ると笑顔で迎える見知らぬ色黒おじさん。
満面の笑みで屹立するおじさんが手に持っているものをじっと見ていると、
「どうや、一緒にサッカーやらへんか!」
.....え、やるーー!!!
ちょうどイナズマイレブンと言うサッカーアニメが青少年の間で大いに流行っていた時でした。
僕も練習したら、ゴッドハンド出せるかなぁ?ファイヤートルネード打てるかな?吹雪くんみたいにイケメンになれるかな?
昇竜の勢いで妄想と言う奴に浸る12歳の少年は、この時からサッカーを選手目指すのでした。
道端には、無惨にも破り捨てられたチラシの残骸もらったチラシを捨てる、その非常さ。
そしてそれを丁寧に拾い集める色黒おじさん、悲しそうな顔…...なんて一切気にせずに、年齢を謝れば不審者扱いされるステップとスマイルで帰路につきました。
どこの馬の骨かもわからないサッカースクールのチラシを片手に「サッカー習いたい!!」とたぎる鼻息を抑えながら迫る子供の、
それはそれは清く輝く華奢な黒い瞳に映る母親の顔は、推して知るべし。剣もほろろに馬耳東風。
「うん、ええよ」という二つ返事以外の事態を想定していなかった少年が、親の機嫌を図らず懇願したことにはっとして、巨大な地雷に両足でダイブインしてしまった事実を悟った彼の顔と言えば、泣きっ面に蜂とはまさにこのこと。
蘇る色黒おじさんの微笑み、手を滴らせながら走った帰り道、期待に胸を膨らませたあの気持ち。それが全部水泡に帰すとはやるせない。
仮借なき情熱は反骨の意思を持ってその旗幟を鮮明にし、いかに自分にサッカーが必要であるかを延々とプレゼンしました。
ようやく諦念の色を見せた母の顔は、なぜかどこか誇らしげで、「ちゃんと通うんやで」と優しく僕の頭を撫でるのでした。
これが僕のサッカー時代の揺籃期、サッカー界の台風の目となることを心に宣誓した少年の第一歩でした。
つづく