写メ日記
レディオヘッドは、僕が世界で一番好きなロックバンドです。
「How To Disappear Completely」はアルバム「KID A」に収録されています。
レディオヘッドを初めて聴いたのは中学3年生のときでした。
感度の高い年齢だった僕は、文字通り、世界中の様々な音楽を体の中に通過させる日々を過ごしていました。
当時よく聴いていたのは、ニルヴァーナやR.E.M、リバティーンズです。
つまり、世界中にたくさんいるロックが大好きな男の子の1人でした。
レディオヘッドは当時から世界的なバンドだったので、音楽好きの少年が彼らのCDをTSUTAYAで借りてMDにダビング(ああ、MD)することは、もはや自然発生的な行為でした。
そして、実家の部屋のMDコンポ(ああ、MDコンポ)で初めてレディオヘッドを聴いたときのあの違和感は今でも忘れられません。
違和感を抱いた理由は、スピーカーから流れてくるその音楽は、今まで聴いてきたものと何から何まで全く違ったからです。
陰湿で暗く、不気味で不安定なメロディライン、そしてトム・ヨークのヴォーカルは光の届かない冷たい洞窟を想起させました。
正直、最初はこのバンドの良さが全くわからなかった。
ベース、ドラム、ギターなど基本的な楽器は他のバンドと変わりません。
でも彼らの楽曲は、他のバンドのものと明らかに違っていました。
僕の体がレディオヘッドの音楽を激しく求めるようになったのは、最初に聴いたときから何年も後のことでした。
大体20歳くらいのときです。
MDの痕跡はすでに消滅し、iPhoneで快適にCDと同じ音質で音楽を聴く時代に入っていました。
20歳といえば、多かれ少なかれある程度の人生経験があります。
僕の場合は親元を離れ、会社に就職し、1人暮らしを始めていました。
いくつかの恋愛やたくさんの悔しい思いを経験していました。
その頃の疲労や諦めがこじ開けた心の隙間に、彼らの音楽はすっと入り込んできたのかもしれません。
2011年3月11日以降は、特に彼らの音楽に助けられたように思います。
僕は東京にいたので直接の被災者ではありませんが、他の多くの人々と同じように、震災を境に今まで見てきた景色がガラリと変わり、考え方や価値観が音を立てて変化していきました。
その頃は頻繁に「KID A」を繰り返し聴いてました。
言うまでもないことですが、音楽はアートの1つです。
正解・不正解という軸はもちろんありません。
人の顔がひとりひとり異なるように、音楽の好みも人それぞれです。
僕の場合、今のところ人生で一番聴いたアルバムは「KID A」です。
精神が浄化される47分間。
深海の闇にゆっくり沈んでいくような不思議な感覚に包まれます。
https://music.apple.com/jp/album/how-to-disappear-completely/1097862870?i=1097863247