〜数日後〜
『家から徒歩3分の場所にジムがある…!』
なぜ今まで気がつかなかったのだろうか。
暗闇に光が差し込んだ気がした僕は
すぐに電話してまずは体験に行くことにした。
?『電話の方ー?』
僕『はい?あぁ、はい!よろしくお願いします!』
失礼ながら僕と同等、いやそれ以上に声の通らない方だなと思ってしまった。
?『運動普段からしてるんー?』
僕『最近はできてませんね、ハハっ』
バツの悪いことを聞かれ、ミッキーのような声が出てしまう僕。
?『会長の〇〇です。昔の写真はあれ。』
そこには東洋太平洋チャンピオンと書かれた写真があった。
僕 『すごいですねぇ…( ・∇・)』
会長『昔はねー。さ!準備運動して縄跳びまずやろかー!』
その言葉通り準備運動をしてから縄跳びを3分2ラウンドで跳んだ。
久しぶりの縄跳びでふくらはぎが悲鳴をあげる。
会長『次はミット打ちいくよー。フォームはこう。』
見た目は老人かと思いきやキレのあるシャドーを目の当たりにし、かたまってしまった。
そしてミット打ちが始まったのだがここで僕は困惑した。
会長『ん〜フォームは綺麗だけどもっとこう、バン!!!!』
僕 『しゅっしゅっ』
一応思いきり打ったつもりだった。
会長『違ーう!もっとバンっ!バン!』
声が通らないと書いたことを訂正しよう。
すごい迫力だった。
僕 『ふん!』
会長『違う違う!バンっバン!』
僕 『バンっ!バン!』
会長『そぉー!いい!もっとバン!』
僕は思った。
この方、すごい感覚派だ…!
とりあえず思いっきり声を出していくしかない…。
僕 『バン!だぁ!はっ!』
体験初日で他の会員もいる中
思いきり声を出してパンチを打つのはとても恥ずかしかった。
その後はサンドバッグを声出しながらたたいて体験は終了。
しかし途中恥ずかしかったことが嘘のように
終わった後は清々しい気分だった。
そして今後、パンチの練習だけができる喜びを噛み締めた。
会長『じゃあ今日は終わりねー』
僕 『あ!すいません。入会したいんですが…!』
確かHPにはプロコース、フィットネスコース、アマチュアコースがあったはず。
僕はアマチュアコースを選択しようとしたのだが
会長『おー、じゃあプロコースねー。入会金が…』
僕 『へ…?アマチュアじゃ駄目ですか?』
会長『んー?本気の奴にしか教えたくないんやわー。他のコースやと適当に教えることになるでー。』
僕 『やるならプロを目指すってことですか?(´-`)』
会長『プロライセンス取るだけでえーから大丈夫。お前さんも目標あった方がえーやろ?その方が技術も身につく。』
お前さんと呼ぶ方に久しぶりに出会ったなと思いながらも
確かに目標があった方がいいと感じた。
いやしかし目標が高すぎないだろうか…。
一瞬躊躇したが
僕 『ではお願い致します!』
会長『おっけー!明日からよろしく〜。週4くらいはきてな〜』
これで投げだしたら男が廃る…、
こうして僕のプロライセンス取得への道のりが始まった。
僕 『いや、始まってしまった、です!』
完