写メ日記
生きているうちに会ってやれよ
どんなに権威のある小説の賞をとろうが
どんなに世間から評価の高い映画をつくろうとも
どんなに演技が抜群で賞を総なめにしようとも
美人だ、可愛い、スタイルがいいと褒められても
この世でいちばん会いたい人に
会えないというのは不幸なことだ
それなら平凡でいい
家族を大切にする人になりたい
優しいピンクや清らかな白
明るい黄色の花々
深紅のダリア
情熱的で華やかな色鮮やかな花々
そんなものは慰めにもならない
生きているうちに会ってやれよ
死んでから会いに来てもしかたないじゃないか
孝行したい時、親はなし
母親に、ほとんど毎日会っている
口のきけない
食べることもできず
笑うこともできない
それでも、
お母さん、好きだよ、
生きていてね、と言ったら
車いすから身を乗り出そうとする
母親は単純で悲しい
息子から愛していると言われるだけで
生きようと思える
生きようとする
誤嚥性肺炎から
母は息を吹き返した
それは本当に奇跡だった
好きだよ
生きなきゃだめだよ
その一言が
植物状態の母を蘇らせた
わけのわからない生命の力を
吹き込んだのだ
日本では、母親を大切にする男はマザコンとして
女から嫌われる。
だが、タイでは自分の母親を大切にする男は尊敬される
自分の母親を愛する男は
私の母親も愛することができる
そう思われているから
タイの女に、どんな男が好きかと聞けば
家族を、母親を大切にする人と答える
愛が失せれば別れゆく
親権を譲ることが離婚を承諾してもらう条件なんて
卑劣でしかない
生きているうちに会ってやれよ
会いに来るのだったら
会いに来れたなら
もっと早く会ってやれよ
死んでから会いに来てもしかたないじゃないか
死んでから優しくしても
死んでから泣いても
生きているうちに
子供に会いたいけれど、もう会えないんだ……
私にとって今一番大事なのは子ども。だから日常こそ大切にしたい。
中山美穂さんはもう、いない