女性向け風俗コラム

2020/5/8月の魔力…飛鳥

「最悪…」

勘の鋭い人ならタイトルと一言でおわかりいただけたであろう。
明日はお泊り、浮かれながら準備をしていた私はスマートフォンでメッセージを送る

【飛鳥君やっほー最悪だよ生理来ちゃった…】
それも前日ということは、多くの女性が悩む二日目の夜にお泊り。
すぐに返信が来た
【あらー急になっちゃったんだね…】
返信をしようとしたら織絵からもメッセージが来た

【最悪だよ職場でまたうるさいおばさんが…】
かなり長い文章で届く、いつもの織絵である。人間関係でトラブルがありそれを私に送ってきたのだ。

「女に対人トラブルはつきもの…女にはつきのものだけでいいのに…はぁ…」

下腹部の鈍い痛みに私は落ち込んだ

翌日、私はホテルに先入りして飛鳥を待っていた。時間になり彼が来たのでドアを開けて抱き着いた。
幸せの時、しかし

うあ…出た…
多くの女性ならわかるであろう

それでも、この瞬間は幸せ

荷物を置き少し話したらベッドに座り二人でTVを見る。
体調の悪いときは口数が減る私、ただ黙って彼に寄り添った

「お風呂入ろうか」
飛鳥が部屋に来て1時間ほど経っていた
「あ。先入って」
「ん?」
「今日はダメ、ね?」
さすがに二日目に一緒には入れない
「あ、そっか。うん」

今日はゆっくり添い寝かな…ベッドに寝てスマートフォンでSNSを開くと女風ユーザーからメッセージが来ていた
【小ノ花さん、今度東京に行くのでお会いしませんか?】
私のSNSのハンドルネームは小ノ花(このはな)メッセージをくれたのは会ったことはないが仲良しのユーザーのサフランさんである
【こんばんは、良いですよー!】
返信をしてやり取りを繰り返していたら飛鳥が出てきた。

「おまたせ」
「あ、うん。入ってくるね」
好きな人がそばにいても少し元気がない、二日目のせい。月の魔力
そう心の中で呟きながら体を洗う、いつもより熱めのシャワーで念入りに体を洗い脱衣所に上がりすぐに洗面所で髪を乾かす。
長い髪は乾かすのに時間がかかる、しかし私にはそれを切るきっかけも勇気もないのだ。

お風呂に入ってから何分経ったのであろうか、ベッドに戻ると飛鳥が何か紙に描いていた
「何やってんの?」
飛鳥の本業はイラストレーター
「ん?美咲」
「え?」
彼はそのまま描き続けている。
「もうちょっと待ってて」

数分後
「はい」
彼が紙を私に渡した

「すごい…!」
「すごくないって」
絵に見入ってしまった
「これ、持って帰ってもいい?」
「うん」

宝物にしよう、できるだけ折らないで持って帰りたいな

そう思った私はスマートフォンで絵の写真をとってから紙を裏返した。

「…カウンセリングシートじゃん」
セラピストの七つ道具の一つである

イラストをバッグのそばに置いた私は彼の横に再び座る、ふと彼が私を見た。
「あれ?目の色違う?」
「へ!?」
飛び上がり洗面所で鏡を見た
「ああああ!」
カラーコンタクトレンズを入れるのを忘れていたのだ。

目、見られたくなかった…

幼少期からのコンプレックス、グレーの瞳を見られてしまった

最悪…

床にしゃがみ込むうつむく私に心と下腹部の痛みを襲う。

いつの間にか私に近寄っていた彼が背後から言った
「こっち見て」
黙って首を横に振る
「いいから」

おそるおそる振り返ると、私の目線の高さに彼の目線もあった。
「綺麗だね」
「え…」
「カラコン入れなくていいのに、綺麗な目じゃん」

この目が…綺麗?

ひかれなかったという安心。綺麗と言ってもらえたうれしさ。それに二日目の夜の精神的不安が重なった私は泣いた。
「しょうがないな」
そういって彼は私を抱きしめた。

つらいけど、幸せな夜。
空にはきれいな月が輝いていた

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この記事を書いた人

海野夏菜

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