女性向け風俗コラム

2020/2/25私の答え…飛鳥

「貴方に…隠していることがあります」

昼下がりの公園、風が私の髪を揺らす。

三時間後の河原町、私は飛鳥と一緒にラブホ街をあるいていた。
「今日は性感やってね」
「OK」
前回はラブホテルには入室したものの、相談のみで性感マッサージをしないで終わってしまったのだ。

よく利用しているラブホテルに入りソファーに荷物を置き、二人の上着をハンガーにかける飛鳥に近づき
「あのね…」
「ん?」
私は肇との出来事を飛鳥に話した、一言で簡潔に
すぐに上着をかけ終えた彼は振り返って私を抱きしめた
「よくがんばったね、偉いよ」
鍛え上げられたたくましい腕

好き…
私は彼に恋をした…
叶わないであろう恋…
しかし、この恋を選んでしまった…

好きな人のそばに居られる幸せ、それが続かない悲しさ、そして罪悪感
150分コースを頼んでいたのだが、いつもより何倍も幸せを感じた。

もう、私の恋を邪魔をする物はないんだ!
その想いが現れたのか、私は普段より積極的に彼に触れた。

あっという間の150分を過ごし、幸せの余韻に浸りながら彼と駅前で別れた

しかし…
私はその後、総合病院に入院中の祖母の元へと向かった
「おばあちゃん」
「あぁ、美咲じゃないの」
祖母は病に侵されて先が長くないが、今日は体調が良いようで編み物をしていた。
ベッドそばの椅子に腰掛け私は言った
「おばあちゃん、ごめんなさい」
「え?何か謝ることあるの?」

涙が溢れ出した

「私、結婚できそうだったチャンス逃しちゃった」
今まで祖母に話したことがなかった肇との関係、
そして結婚前提の交際を断ってしまったこと。
好きなこと、好きな人を見つけそのために断ったと。

祖母は優しく微笑んだ
「謝ることなんて何一つないのに」
「だって…私の結婚式に出たいってずっと昔から言ってたじゃん。何回もそのチャンス逃しちゃったんだよ…」
私が結婚の機会を逃したのは今回だけではなかった。

祖母が病に侵されていなければ、あと少し若ければと思ったが。現実は残酷である。
私を見ていた祖母が窓の外を見た、鮮やかな銀杏の葉が風で舞っている
「美咲の結婚式には出たいよ、美咲が生まれた時からずっと。でも、美咲が幸せじゃない結婚式には出たくない」
泣いていてうまく話すことができない私に祖母は語りかけた。
「私は21歳でお見合いして、おじいさんに4回会っただけで嫁に来た。
まだ子供で何もわからなかったし、昔はそれが当たり前だったから不満もない。でももう時代が違うんだから、あなたのお父さんとお母さんだって好きになった人と結婚してるのよ。美咲がそれを求めて何が悪いの。」
「でも私もう30になっちゃう…」
「今はみんな遅いんだから良いの、結婚しなくても幸せになれる時代なんでしょ?美咲もきっと、結婚しなかったとしても幸せになれる。それに、何か好きなものを見つけたなら。それで良いじゃないの」
微笑む祖母と泣く私
「もういい年なのに、もったいないことしたって怒られるかと思った」
「怒る訳ないじゃないの。」

祖母が私の頬に手をのばした
「それに結婚、あんまり美咲が遠くに行っちゃうのは寂しいからね。」
私の頬の涙を拭う祖母
「幸せのためなら、どんなに遠くに行っても良いからね」

一年後にはこの世にいないかもしれないおばあちゃん
孫の私の幸せを一番に考えてくれていた。

当たり前のことかもしれないけれど、その優しさに私は涙を流し続けた。

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この記事を書いた人

海野夏菜

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